全天カメラの製作
全天を1枚のフィルム上に写したいと思い、全天カメラを作ることにしました。
昼間の空も写したいと思い、シャッターを組み込むことにします。
全天カメラを作るのに、まず必要なのがレンズです。
現在、35mm版のレンズで入手可能なマニュアルタイプの魚眼レンズは、ほとんどありません。中古市場を探してみても、特殊なレンズだけになかなか見つけることはできません。
と思っていたところ、月刊天文2001年4月号にロシアレンズのゼニタール16mmF2.8の実写テスト結果が載っていました。ロシア製レンズということで性能が気になるところですが、これによるとF4まで絞るとかなりハイレベルの画質が得られるとのこと。結局このレンズを購入することにしました。何より価格が安いのが一番です。早速笠井トレーディングに注文し5日ほどで到着しました。
M42マウントにしたのは、レンズとシャッターをつなぐアダプターの製作が楽だと考えたからです。
早速箱を開けてみると、なかなかいい感じの布製ケースとフィルター3枚、フィルターケース、取扱説明書が入っていました。取扱説明書の内容は、さすがにさっぱりわかりません。
レンズ本体です。フードとぴったり合うキャップがなかなかいいと思います。でも、これもフードをとってしまえば使えなくなってしまいます。
マウント(M42)と絞りです。後ろのピンは絞りを絞るためのピンです。押すと絞りが閉じます。フィルターは、後ろに取り付けるようになっています。最初は透明タイプが付いています。
フィルムホルダー
35mm版の16mm魚眼レンズのイメージサークルは、約43mmですので6X6版以上のサイズがあればOKでしょう。中古カメラ屋さんを探していたところマミヤプレス用6X7フィルムホルダーを見つけました。モルト交換済みで15000円でした。このほかに使えるものとして、マミヤRB67用フィルもホルダーなども使えると思います。ただし、ホルダー自身でフィルムの巻き上げができるものでなければいけません。
シボ皮の部分が剥がれかかっていたのですべて剥がして張り直しました。
シャッター
部品の中で一番入手しにくかったのがシャッターです。やっと、オークションで手に入れることができました。
入手できたのは、コパルのプレスシャッター0番です。内径が小さいので本当は、1番か3番を入手した方のですが、入手できませんでした。とりあえずこれを使って作ってみることにします。参考までに、コパルシャッターの規格を挙げておきます。
プレスシャッターは、シャッターチャージをしなくて良いシャッターで、レリーズを押すだけでシャッターが切れます。ただし、同じ番号のシャッターでも最高シャッター速度が遅くなってしまいます。一コマに連続撮影する場合などは便利かもしれません。
シャッターの寸法などは、www.skgrimes.comで見ることができますできました。
コパル#0 | コパル#1 | コパル#3 | コパル プレス#0 |
コパル プレス#1 |
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外形 | 61mm | 73mm | 102mm | 63mm | 75mm |
重さ | 115g | 160g | 340g | 100g | 115g |
前玉ネジ | M29.5 P0.5 | M40 P0.75 | M56 P0.75 | M29.5 P0.5 | M40 P0.75 |
後玉ネジ | M29.5 P0.5 | M36 P0.75 | M56 P0.75 | M29.5 P0.5 | M36 P0.75 |
前後ネジ端距離 | 20±0.025 | 20±0.025 | 28.6±0.025 | 20±0.025 | 20±0.025 |
シャッタースピード | T,B,1~1/500 | T,B,1~1/400 | T,B,1~1/125 | B,1~1/125 | B,1~1/125 |
最大絞り口径 | 24mm | 30mm | 45mm | 24mm | 30mm |
レンズアダプター
M42マウントのフランジバックは、45.46mmです。レンズ-シャッター間及びシャッター-フィルムホルダー間のアダプターを作るための間隔は十分にあります。しかし、シャッターの絞り口径が24mmしかありませんので、レンズとシヤッターの間隔をあけるとケラレてしまいます。この間隔はできるだけ短くする必要がありそうです。このレンズの最後端の直径がシャッターの口径より小さいので、工夫すれば、ケラレずに済みそうです。
そこで、マウントの構造を確認するためにばらしてみました。後のネジを3本外すだけで簡単に外すことができます。今回はこの外したマウントの代わりにシャッターと接続するアダプターを作ることにします。
下図の緑の部分が今回製作する部分です。元々レンズの後端に付いていたクリアのフィルタは外して使うことにします。
製作には旋盤加工が必要ですので、依頼することにします。
レンズフード
このレンズは対角魚眼なので、上下の位置に短いフードが付いています。国産のレンズを使う場合はこの部分をカットしなければならず、これがやっかいな作業になります。ところがこのレンズの場合、周囲に付いている3ヶ所のネジを外すだけで、簡単にフードを取り外すことができます。特にフードがレンズを押さえたりしている訳ではないのでこのままでもOKです。
フードを外すためにネジを外すときは注意が必要です。きっちり大きさのあったマイナスドライバーを使って外します。ネジが脆いので割れてしまいます。外す前に割れてしまうとやっかいなことになってしまいます。
組み立て
できあがった部品を組み立てます。
M42マウントを外したレンズに作ったマウントを取り付けます。M1.7×5ネジで取り付けましたが、若干カメラ側のネジがきつかったので、タップでネジを切り直しました。
あとはシャッター、マウント1,2と順番にねじ込んでいきます。
フィルムホルダーとマウント3を取り付けます。取り付けはL型の金具を使って取り付けました。
完成したところ。
レンズのキャップは、外したフードと元々のキャップを組み合わせて使います。
三脚アダプターは、アルミの板に三脚ネジを接着しています。
フィルムホルダーから見たところ。何とかケラれずにいけそうかな。
撮影結果
撮影データ
露出:1秒 ザンビアにて撮影
MAKE:JAPAN さんに紹介いただきました。
コメント
コメント一覧 (2件)
シャッターはマミヤRB用レンズからセイコーNo1が安価に手に入るのでオススメ
naoさん 情報ありがとうございます。シャッターの入手が一番苦労したところです。これから製作される方の有益な情報になると思います。ありがとうございます。