天文アマチュアのための電子工作

DC-DCコンバーターの製作

注意 バッテリーや電源機器など、大電流が流れる可能性があるものは、取り扱いを間違えると非常に危険なことがあります。この記事の内容を元に製作・実験を行う場合も、これらのことを十分理解した上で自己責任で実施いただくよう、お願いいたします。

 タカハシ製作所のEM-200 Temmaは、大変優れた赤道儀です。しかし、高速導入の性能をフルに出すためには、DC24Vの電源が必要となります。DC24Vの電源を得るためには、次のような方法が考えられます。

  方法 特徴 問題点
AC100V→DC24V 最も簡単で確実な方法 AC電源がないところでは使えない
DC12Vバッテリー直列2個 簡単に24Vが得られる バッテリーの残量によって電圧が変化する。バッテリーを2個準備しなければならなく、取り扱いが面倒。
DC12V→AC100V→DC24V 市販の機器のみで構成できる 効率が悪く、バッテリーの持ちが悪い
DC12V→DC24V 簡単に24V が得られる。
電圧が安定している。
比較的効率もよく、取り扱いも簡単。

 屋外で使用することを考えると、バッテリーから電源を取る必要があります。バッテリーの容量は限られているため、出来るだけ効率良い電源がほしいところです。そこで、DC12Vから直接DC24Vを作り出すDC-DC(ステップアップ)コンバータを作成することにしました。また、ノートPC用の電源とすることも可能です。調整で13V程度から使えます。

設計

電圧を昇圧するのに便利なIC があります。リニアテクノロジ社のLT1170です。このICを使って設計を行います。

部品表
部品番号 品名 メーカ 備考
C1 電解コンデンサ 220μF/50V 日本ケミコン UHE1H102MHD6 105℃品(極性に注意)
C2 電解コンデンサ 1μF/50V   無極性
C3 電解コンデンサ 1000μF/50V 日本ケミコン UHE1H102MHD6 105℃品(極性に注意)
D1 ダイオード FMB-G14L サンケン電気  
F1 ヒューズホルダー F-60-A サトーパーツ ~10A(電源電圧・負荷によって選択)
IC1 IC LT1170CT リニアテクノロジー  
J1 コネクタ B2P-VH 日本圧着端子 ハウジング:VHR- 2N コンタクト:SVH-21T-P1.1
J2 コネクタ B3P-VH 日本圧着端子 ハウジング:VHR- 3N コンタクト:SVH-21T-P1.1
J3 コネクタ B2B-XH-A 日本圧着端子 ハウジング:XHP- 2 コンタクト:SXH-002T-P0.6
L1 インダクタ OH-053Z NECトーキン 5A 90μH 
R1 1/6W 抵抗 1KΩ    
R2 1/6W 抵抗 22KΩ    
R3 多回転半固定抵抗 5KΩ    
R4 (1/2W) 抵抗 (510Ω)   LEDにあわせて値と耐電力を選んでください。

製作

 今回は、プリント基板を作りました。 背の低い部品から取り付けていきます。この方が半田付けする時、やりやすいからです。電解コンデンサには、極性があります。極性を間違えると大きな音とともに熱い電解液と煙が吹き出します。極性には十分注意してください。

部品を取り付けいていきます。

ICとダイオードは放熱板に取り付けます。このダイオードは樹脂モールドされていますので、このまま放熱板にねじ止めします。もしあれば、放熱用のシリコングリスをダイオードと放熱板の間に塗ってからねじ止めします。ICは放熱フィンのところに電圧がかかりますので、絶縁シートとブッシュを付けてからねじ止めします。

樹脂モールドされているダイオードは、そのままねじ止めしてOKです。

LT1170は、絶縁シートとブッシュを使ってねじ止めします。

一通り部品を付けると完成です。20分くらいで出来ると思います。

完成

今回はケースに入れます。まずはケースを加工します。今回はタカチ電機工業のUC9-5-12GXというケースを使用しました。基板を取り付ける金具として、UCK-P13を使用しました。放熱フィンがケースのふたに当たるので、写真のように通常の使用方法とは逆に金具を取り付けました。スイッチはLED 内臓のものを使用しました。

回路図です。

部品表
部品番号 品名 メーカ 備考
ケース UC9-5-12GX タカチ電機工業 シャーシ取り付け金具:UCK-P13 
SW1 スイッチ CW-SC11WCKMMES 日本開閉器工業 CW-SC11WCKMMES(緑)
CW-SC11WCKRRES(赤)
CW-SC11WCKYYES(黄)
J1 コネクタ PRC03-23A10-2AM 多治見無線 プラグ:PRC03-12A10-2AF
J2 コネクタ PRC03-23A10-2AF 多治見無線 プラグ:PRC03-12A10-2AM
P1 コネクタ VHR- 2N 日本圧着端子 コンタクト:SVH-21T-P1.1
P2 コネクタ VHR- 3N 日本圧着端子 コンタクト:SVH-21T-P1.1
P3 コネクタ XHP- 2 日本圧着端子 コンタクト:SXH-002T-P0.6

調整

調整は電圧を合わせるだけです。ボリュームを回すと出力電圧が変わっていきます。24Vに調整すれば完成です。13V~24V程度まで調整して使用することが出来ます。

評価

変換効率を測定してみました。測定器の関係で入出力同時に測れなかったため測定値にばらつきがあります。
 測定値は入力電圧を12Vに設定し、出力電圧を15V,18V、24Vとしたときの変換効率です。15Vでは、1A以上の出力で95%の変換効率があります。
 24Vでは、3A流すと約10Wのロスが発生します。結構放熱板が熱くなります。瞬間的には問題ないと思いますが、連続使用は厳しいと思います。赤道儀を駆動する用途には問題ないと思います。

アフターフォロー

インダクターの入手が難しくなり、製作できなくなりました。

DC-DCコンバーターの製作Ⅲとして、改良版を製作しました。